子どもの成長とともに子ども部屋の使い方は変化します。例えば、子どもが10才になって個室を使うようになり、
18才で家を出ていくとすれば、子ども部屋が必要な期間はたったの8年程度です。
だから、新築時は間仕切り壁を最小限にとどめて、広く開放的な多目的空間にすることをおすすめします。
そうすれば、将来の子どもの成長や人数に合わせて仕切ることができます。
子どもが巣立った後には、夫婦それぞれのパーソナルスペースにしてもよし、客室にしてもよし。
ライフステージの変化に柔軟に対応できる子ども部屋にしておくことがベターです。
「幼児期」から「小学生高学年」までの約12年間の子どもの成長、ライフステージそれぞれに
適した親子の距離感があります。それに合わせて過ごしやすい空間づくりをしていきましょう。
「親の目の届くところで遊ぶ」
安全にハイハイ、よちよち歩きができる広い空間で親子一緒に遊びます。子どもはこの時期の親子の絆を基盤にして成長します。個室は時期尚早です。まずは専用のおもちゃ箱で、自分のものに責任を持たせる習慣をつけてから、成長に合わせて壁や家具で仕切ります。
「宿題は家族のそばで」
専用の机を用意し、自分の領域を管理する意識を持たせましょう。写真はダイニング横に設けた学習コーナーです。
親は家事をしながら1日の出来事を話したり宿題をみたりと、子どもの様子を見守る時間をつくることができます。
「ひとりになりたい時は子ども部屋へ」
子どもが自分の世界を持ち始めたら自立の準備が必要で、プライバシーを尊重する環境を整えます。必要以上に広く快適な子ども部屋は、閉じこもってしまうデメリットがあります。わが子を個人として認め、親子の信頼があれば鍵は必要ありません。「無断で入らない」「入室時は必ずノックする」などのルールを家族で話して決めましょう。
築後10年の「雨楽な家」の施主様宅で、子ども部屋の間仕切り工事を行った実例をご紹介します。
中学生と小学生になった姉弟のために、1つのオープンスペースにになっていた部屋の中央部分に間仕切り壁と収納を設置。ロフトもしっかりと仕切りました。新築当時から、将来は2つに仕切ることを考慮して建具や照明スイッチ、窓、ロフトに上がるはしごなどが配置されていたので、作業がスムーズに進み、工事が完了。それぞれの条件がそろったバランスの良い2部屋を完成させることができました。
壁を設ける前段階において、気軽に間仕切りするために便利な「間仕切り家具」をご紹介します。
両面から使える家具を、子どもの成長とともに追加していくのもオススメです。
シンプルな押入れ・クローゼットを2つ、
互い違いに並べて使用します。押入れひとつ分
の幅なので、それぞれの空間を圧迫しません。
押入れの隣に本棚をプラスしたタイプ。本や小物など、自分の持ち物が増えてきたり、よりしっかりとした間仕切りが欲しい頃にオススメです。
空間を広く使うベッドは、省スペースにして2段ベッドに。上下で入口を互い違いにすることで間仕切りになり、「自分だけの空間」が造れます。
① 玄関から子ども部屋の間にLDKを通ること
② LDKの家族の気配が子ども部屋に届くこと
③ 広くて快適すぎる子ども部屋にしないこと
子どもの成長に大切なコミュニケーション能力は、最初に触れ合う家族とのやりとりによって養われます。家族と程よい距離を保ちながら、自然とコミュニケーションがとれる子ども部屋が理想的です。
小さく造られた子ども部屋は、子どもが巣立ったあとには物置にしてしまいがちです。広く開放的に造られた部屋であれば、子どもの成長や
巣立ちのタイミングに合わせて部屋の間仕切りの仕方を変えていけます。
親だけになった際には、夫婦それぞれの書斎や趣味室にして個人の時間を楽しんだり、さらに子どもが家族をつくり同居となった際には、子ども家族の部屋になったりと、家族のライフステージに合わせられる「自由な空間」として活用できます。
家族が長く暮らしていく住まい。今だけでなく将来のことを夢いっぱいに計画して、家づくりをもっと楽しんでみませんか?