「一般的に、約15坪(50㎡)以下の土地のことを「狭小地」と呼びます。
狭小地は、面積が小さく価格が安い上に用途が限定されるため、同じ地域の通常の土地に比べ坪単価も安い傾向にあります。さらに変形地も多いのが特徴です。条件の悪い土地でも、少しの工夫で窮屈さを感じさせない広々とした家づくりを実現することも可能です。
屋根の構造体をあえてそのまま見せた開放的な勾配天井。
ゆるやかな1.5寸勾配の、のびやかな空間になっています。
1階中央の土間には中庭に面した大きな窓から入ります。吹抜けからも光を受け、明るく心地いい空間に。
土間の上部に骨太の杉の梁の上に細長い吹抜けを設け、1階と2階に中庭からたっぷりと光を採り入れられます。
右側が土間から床高が30cm上がったリビングです。
間仕切りの建具はポリカーボネート板の3枚引き戸。光が通るので空間が広く感じられます。
通路側の壁面に設けた杉材のクローゼット。杉が持つ防虫・防菌・吸湿の効果で湿気対策も万全。
屋根付きで、二方に壁があり道路側は格子で遮られているので、プライバシーも確保しつつ半屋内のような風情も感じられる空間に。
「雨楽な家・町家」のように「コの字型」で建つ家は、中庭が家の中心となる造りになります。
通りからは室内が見えにくくなっていますが、中庭に面した室内では外から心地よい陽の光を採り入れ、庭の景色を楽しむことができます。
夜には庭に間接照明を設けることで、室内にもたっぷりと光を採り入れられます。明るすぎない心地よい灯りのなか、土間やリビングで夫婦揃って晩酌するも良し。夏場には縁側に座って家族揃って涼むも良し。“灯り”でつくる夜景が家族のくつろぎ空間を演出してくれます。
さらに、無駄な電気を使う必要がなくなるため、電気代の節約にもつながります。
どんな敷地も少しの工夫を加えて有効活用し、快適な家づくりをしていきたいですね。
狭小地住宅に最適なスペース有効活用法のひとつとして、ロフトがあります。使用用途もいろいろで、寝室や書斎、子どもの遊び場、大人の隠れ家といった家族の楽しみスペース、普段は使わない季節の物などの収納場所にすれば生活フロアを広く活用できるメリットがあります。
限られたスペースだからこそ無理や無駄をなくした、こうした設計テクニックを積極的に取り入れていきたいものです。
狭小地ながらも、ストレスのない開放感あふれる家づくりを目指したいですね。