今回は10年前に建てた弊社のモデルハウス「生駒の雨楽な家」のリニューアルという機に自分の思いを語らせていただこうと思います。長くなりそうですが(笑)、写真とともに見ていただけると幸いです。
私は今年還暦(昭和35年12月23日生まれ)を迎えます。ということは、モデルハウスは50歳の頃に建てたんですね。当時は太陽光パネルの設置も今よりうんと高くて(笑)。でも、ようやく私の思いに叶う無垢の木の家で、しかも手の届く価格で家づくりができる「雨楽な家」にたどりつき、その家を実際にお客様に見ていただきたい一心でつくりました。
多くのお客様に見ていただき、10年経った今、本来の木の家らしく、柱や床、天井はとてもいい感じの飴色になっています。新築直後の白い木の色が好きというかたもおられますが、一年一年を積み重ねて風格を増していく姿も格別。ここからこそが木の家の魅力が磨かれていきます。木の香りに包まれる心地よさに存分に包まれながら・・・。その話は次のブログでお話しするとして、今回は私の家づくりの思い、中垣建設のこだわりについて聞いてください。
今から40年近く前の話になりますが、私は高校の建築科を卒業後、地元のゼネコンで修行し退職と同時に家業を継ぎまして、私なりに奮闘して、二級建築士、宅地建物取引士、一級建築士、一級施工管理技士といった建築に必要な資格は30歳までにすべて取得しました。もともと父親は大工で、自分も大工になるものだと思っていたのですが、先に弟が大工になったので施工部門は弟が担当。私はお客さんに合って話をして、打ち合わせをして、主に設計を担当しています。工務店の特徴は意外と伝わりづらいらしく、家づくりを検討中のかたにとっては工務店の違いが分からず、どうしようかと悩みどころだと思います。それで私がお伝えしたいのは「うちの場合はこんな特徴があります!」ということ。
まず、自社設計自社大工でやっています。これは兄弟で設計と施工をしているということでもあります。父の代の時は大工の見習いさんも含めて何人もの大工が居ましたので、自分のところで木を刻んで墨つけしてということをしていました。今はプレカットが導入され効率的に作業ができるようにもなりましたが、弊社に昔ながらの下地があるのは、木造在来工法をしていく限りとてもありがたいことと思っています。
それに加えて、重要と思っているのは、水道屋さんや電気屋さん、クロス屋さんといった職人さんは弊社の場合、それぞれ一社だけ。安いから今回はあそこを使うとか、忙しいからここで済ますといったことはしないで、長年つきあいのある信頼できるところとしか仕事をしません。だから新築をさせてもらったら「今度リフォームするときも同じ人が来るからねー」とお施主さまにはお伝えしておきます(笑)。職人は自分がやった仕事なので、前の人がこうだったから工事がしにくいとか、できないといった責任逃れはできません。新築後、次に伺うときまで、少々トシはとっているかもしれませんが、死なない限りは変わりません、いえ、変えません(笑)。何かの都合で行けなくなっても、その息子が来ます!そのことがお施主様に安心していただけることの一つと自負しています。ただし、職人というのは、なぜかブツブツ独り言をいいながら仕事をするので、そこは気にしないでくださいとお施主様にはあらかじめ伝えてあります(笑)。ブツブツ言っていても文句を言っているのではないので、どうぞ安心しておまかせください。
次にお伝えしたいのは、家のプランは図面を見ながら1日がかりであれもこれも決め込んでいく方法ではなく、都度都度考えていきましょう、ということ。もちろん、見積もりを出す上で一部屋にコンセントは二つを設定、といったことは決めたりしますが、弊社の場合は、こんな具合に進めます。家を建てる前に、まず外壁とサッシとガラスだけは決めましょう。次に家が建ったら、配線を決めましょう。それができてクロスの下地が終わったらクロスの柄や色を決めましょうといった感じ。一気にすべてを選び、決めていくのは、ハウスメーカーや工務店側の都合。作る側としては効率がいいかもしれませんが、お施主様にとっては楽しみというよりも苦痛でしかありません。決めることが多すぎて、パニックに陥ってしまうかたもいらっしゃることでしょう。
図面上ではわからないこと、実感できないことはいっぱいあります。たとえば図面ではよく天井高2400mmとあるけれど、それが6畳の2400と15畳の2400では印象がまったく違う。ましてやトイレの2400mmだったら、とんでもなく高いということになってしまいます。家を建てた経験のある方だったらわかるかもしれませんが、初めて建てる人ならなおさら、イメージをつかむのは難しいはずです。言い方を替えますと、家が建って現場に立たないとわからないことはいっぱいあります。お施主様にとっては一世一代のことなのに「工事中に思いついたことを言ってもいいのかどうか、しゃべってもいいのかと悩む」とよく耳にします。だから、弊社では家が建つまでは事務所かモデルルームで打ち合わせをし、家が建ってからは現場で打ち合わせをするようにしています。
その都度その都度決めていくっていう方法は、もしかするとお客さんにとっては面倒なこと?とも思いますが(笑)、その方が絶対にわかりやすいはず。もちろんおまかせ!とおっしゃる場合は私たちが最善と思うことを決めていきます。でも一緒に迷ったり決めたりしていくことが家づくりの実感であり、醍醐味でもあると思っています。そして、話はプラン時のことに戻りますが、私はいつも5〜6枚はプランを書きます。この前お話ししたお客様には8枚も出しちゃった。さすがにこれは出し過ぎかなとあとで反省もしました(迷い過ぎてしまうので)。でも何枚もお出しすることで、だんだんお客様のイメージに近いものがわかっていきます。LDKを真ん中に持っていくか、南に持っていくか。階段の位置とか。何パターンかお出ししてだんだん集約していきます。というわけで、プランが決まるまでの打ち合わせの回数も多いです。
まだまだお話したいことはあり尽きませんが、もう一つだけ聞いてください。私が建築に携わってきた40年間を見ても、本当に家づくりは変わってきました。家の普請は家長たるお父さんの自慢であり、次の代のために残す家という思いが強い時代もありました。また20年くらい前までは家相を考えることはとても重要でした。でも、今ではそういうことをおっしゃるお施主様はほとんどいらっしゃいません。この前、打ち合わせしたお施主様が「ここは鬼門で・・」とおっしゃり、久しぶりにその言葉を施主様から聞いてハッとしたくらいです。
でも、今も家を建てようという人が多いのは、確かなこと。家を建てることの意味を考えると、やっぱり健康があってこその家かな、とつくづく思います。健康であるためには体にいいものが必要、体に負荷をかけ過ぎないことが重要ですね。それは衣食住のどれもそうだと思います。子どもの頃から食べてきたものが体をつくり、大人になって影響するように、家も、子ども時代の環境は大事なのではと感じます。たとえば、雨楽な家で暮らすとアトピーだった人がよくなるという話は本当によく聞くことです。その根拠を示すのは困難ですが・・。でも、だからこそ本物の木をたっぷり使い、漆喰や和紙など自然素材に包まれた雨楽な家の良さをぜひ知ってほしい、という思いを持ち続けています。木の家と一言でいっても、本物の木か偽物の木か?それは無垢材か集成材か?といった知識も含め、解釈は人によってさまざまです。でも雨楽な家のモデルハウスにお越しいただき、ぜひ木の家に身を置いて感じてもらえたらと思います。私にとっては、それは肌触りと匂いなのですが・・・。その話の続きは、次回のブログで。リニューアルしたモデルハウスをご紹介しつつ、またお話ししたいと思います。
*じつは先月のブログでも「40年間の家づくりに携わってわかってきたこと・気がついたこと・納得できたこと」を書き綴っています。よろしかったらご一読ください。